本書は、アスペルガー症候群(AS)および高機能広汎性発達障害の当事者が使うためのものとして書かれている。
監修者のローナ・ウィング氏は、オーストリアの小児科医で「アスペルガー症候群」という概念を提唱した、この分野では世界的な権威である。
著者の吉田友子氏は、よこはま発達クリニックで臨床を行いつつ、ペック研究所という子どものための心理学研究所を主宰し、講演や著作活動など精力的になされている専門医である。この本は、実質的には吉田氏の著作で、ウィング氏はスーパーバイズ的な役割をしたものと思われる。
こういう当事者のための読みやすい本を作るということそのものに、吉田友子氏の発達障害へのあつい姿勢というものがあらわれている。やさしく、わかりやすく語りかけてくるような文体で、アスペルガー症候群というものを、脳のひとつのタイプと肯定的にとらえ、多数派の人たちとうまくやっていく方法を説くというスタイルをとっている。
本書をいきなり子どもに与えるということはたぶんないだろうが、まずは親御さんが読んで、ASの子どもの「サポーター」(支援をする人)としてどうしたらよいかを学ぶことができる。その後に、子どもと一緒に読むとよいだろう。ただし、本書にも書かれているように必ず専門家による診断を受けた後に役立てて欲しい。
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