TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped
Children,ふつう「ティーチ」と発音する)とは、アメリカのノースカロライナ大学のショプラー教授らによって1960年代半ばからはじめられた、自閉症とその家族を支援するためのプログラムである。1972年にはノースカロライナ州全州でこのプログラムが展開されることになり、その後自閉症療育プログラムとして全世界的な広がりをみせている。
監修者の佐々木正美氏は、このTEACCHプログラムを日本に紹介し導入した第一人者であり、多くの関連著作がある。
この本の特徴は、本書自体が大変にわかりやすくヴィジュアルに構成されていることで、TEACCHの基本方針である「視覚的構造化」というものを、まさに体現しているように見える。すべてのイラストを描いた宮原一郎氏の仕事が、すばらしい。これは、内容への深い理解がないとできないことであろう。
それぞれの項目が見開き2ページから4ページくらいのイラストにまとめられていて、個々に役立てていくことができるだろう。学校や療育現場での指導用のものが多いが、家庭で役立ちそうなものもある。
この本で佐々木正美氏が強調していることは、「構造化のアイデアはバリアフリーの手段であり方策である」ということである。つまり、特別支援とは障害者のために特別に用意するものではなく、障害を作り出しているバリアをとりのぞくものであるということだろう。
このようなことは、私もつねづね感じていることだ。事例化する発達障害が増えている背景には、今の学校が昔に比べても無構造でわかりにくくなっている、ということに一因があるという気がする。個別の事例への対応も大事であるが、それ以前に学校全体の環境をもっと構造化してわかりやすくするということが重要なのではないか。
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