原題は”Win the Whining War & Other
Skirmishes”で、とくにADHD(注意欠陥多動性障害)ということでもなく、なかなか言うことをきかない子どもの子育てについての本です。UCLAの精神神経医学研究所でのペアレントトレーニング(親訓練)プログラムの研究と実践の経験をもとに作られた本だそうです。
米国では1991年に初版されて以来、日本語版翻訳の時点ですでに6版を重ねるほど人気を博しているようです。同じ著者による第二弾、「きっぱりNO!でやさしい子育て」(The Answer is NO)もすでに翻訳されていますね。(下記)
その後、日本でもADHDのペアレントトレーニングの本はいくつか出版されておりますが、やはり本場物は板についているっていう感じですね。日本とは社会通念の違いなどもあって、ふーんアメリカではそうなんだ、という記述もありますがそれはそれでおもしろい。
著者であるシンシア・ウィッタムさんの、きさくでやさしい人柄がひしひしと伝わってきます。まあ硬いことを言わずに気楽に読んで、悩ましい子育てに少しでもヒントになることをつかめればよいのではないでしょうか。
ここで紹介されている行動療法的なアプローチというのは、簡単にいうと次のようなことです。
まず、子どもの行動を、3つに分ける。
1.してほしい行動
2.してほしくない行動
3.許し難い行動
です。
それに対して、
1.してほしい行動 → 注目してほめる
2.してほしくない行動 → 無視する
3.許し難い行動 → 罰(タイムアウトなど)を与える
ということです。
ポイントとしては、子どもというものは注目されることがうれしいので、もちろんほめられるのが一番ですが、がみがみ言われることでも無視されるよりはましと感じるんだ、ということです。
ですから、してほしくない行動をがみがみ言うことは、その行動を余計に強化してしまうことにもなりかねない、ということです。わかってはいても、親としてはむずかしいですけれどね。
このようなアプローチは、1から3の順にステップを踏んで実践していくようにと書かれています。つまり、罰(といっても一定時間一人でじっとするタイムアウトといった穏やかな方法ですが)を与えることが、一番むずかしいので、必ず、注目してほめるというところからはじめることです。
子どもを愛することだ、と言われても抽象的でどうしてよいかわかりません。子どもに注目することが大事だ、と言われば、ずっとわかりやすいですね。そして、わたしたち大人は、自分の都合や忙しさにかまけて、ついつい子どもに注目することが疎くなってしまいがちなものです。
コメントをお書きください