著者は1947年生まれの女性。自閉症のハンディキャップを乗り越えて動物科学の分野で活躍し、自らの体験をこの本に記した。自閉症の当事者による手記として、大変に話題になった本だ。
この本の語り口、思考法そのものが独特でおもしろい。困難を乗りこえために自ら考案し製作した「締め付け機」へのこだわり。その乗り越えを、「扉を開けてその向こうに行く」という視覚的なイメージによってとらえる考え方だ。
彼女がこれだけのことを達成できたのは、ひとつにはその高い知力と情熱であったろう。そして、その彼女を暖かくささえる、周囲の人々。
とりわけ、小さい頃から彼女のために手をつくし、つねに信頼し支え続けた母親の存在がとても大きい。
主治医のスタイン先生や、学校の先生など、要所要所に彼女を認め、支持してくれた人々がいたというのもすばらしい。1950年代から60年代のアメリカは、このような面で、今の日本よりもすでに進んでいたのかなあと思った。
コメントをお書きください